2010年02月09日

聖者の行進、ついに頂点へ

現地時間の7日夜(日本時間の昨日)、マイアミのサンライフスタジアムで第44回スーパーボウルが行われた。対戦カードはニューオリンズ・セインツ対インディアナポリス・コルツ。両チームともにカンファレンスの第1シードから勝ち上がってきたが、これは1993年のバッファロー・ビルズ対ダラス・カウボーイズ以来16年ぶりのこと。また、プレーオフでは守備の強いチームが有利と言われるが、セインツもコルツも攻撃型のチームであり、そういう意味でも珍しい組み合わせとなった。

セインツは球団創設44年目で初めてのスーパーボウル出場。4年半前、あのハリケーン・カトリーナで壊滅的な被害を受けたニューオリンズ市の復興の象徴的存在だ。QBブリーズはレギュラーシーズン新記録のパス成功率70.6%をマークし、QBレイティングもリーグトップの109.6。ブリーズに率いられた攻撃陣は獲得ヤード、得点ともにリーグ最多を記録した。

対するコルツは3年ぶり4度目のスーパーボウル出場で、3度目の優勝狙う。過去3度出場したスーパーボウルはすべてマイアミ開催。そして今回の開催地もマイアミというのは不思議な因縁だ。セインツと同様に攻撃型のチームで、ブリーズに次ぐパス成功率68.8%をマークしたエースQBマニングは史上最多となる4度目のレギュラーシーズンMVPを獲得した。

試合はコルツのキックオフで始まり、セインツの最初の攻撃はスリーアンドアウトに終わった。逆にコルツはマニングがTEクラークやWRコリーへパスを通して前進し、7分29秒、Kストーバーが38ヤードのFGを決めて先制した。対するセインツは次の攻撃シリーズでもパントに終わり、自慢の攻撃力を発揮できない。「最初の15プレーは故障が伝えられているコルツDEフリーニーの状態を見極めるために使う」というペイトンHCの言葉を信じるなら、攻撃が進まなくてもさほど気にすることはないのかもしれないが、そうでないとしたら苦しい試合になりそうだ。

コルツは自陣4ヤードから始まった次の攻撃シリーズでも、ルーキーRBブラウンのランアフターキャッチでいきなり1stダウンを更新すると、パスを警戒するセインツの裏をかいてエースRBアダイが26ヤードのランを決めるなど走りまくり、最後は36秒、マニングがWRガーソンへ19ヤードのTDパスを通して10-0とリードを広げた。96ヤードのドライブはスーパーボウル史上最長タイ記録だ。

第2Qに入り、セインツはブリーズからWRコルストンへのパスや相手のレイトヒットの反則などで敵陣20ヤード付近まで攻め込んだが、ブリーズがフリーニーにQBサックを食らってしまい、9分34秒、Kハートリーが46ヤードのFGを決めて3点を返すにとどまった。それでもセインツは守備陣が踏ん張ってコルツの攻撃を初のスリーアンドアウトに抑えると、次のシリーズではコルストンへの27ヤードのパスなどで敵陣1ヤードまで攻め込んだ。しかし3rdダウン1ヤードの場面でボールを持ったRBベルがエンドゾーン寸前で滑ってTDを逃し、さらに4thダウンギャンブルもRBピエール・トーマスが止められてターンオーバー。同点のチャンスを逃してしまった。

この時点で前半の残り時間は1分49秒。マニングの力なら十分に追加点を取れたはずだが、コルツは無理に攻撃せず、時間をつぶす作戦に出た。しかしセインツ守備陣の踏ん張りの前にまたもスリーアンドアウトに終わり、セインツに反撃の時間を残してしまった。ブリーズは残り35秒、WRヘンダーソンへ20ヤードのパスを通してFG圏内までボールを運ぶと、前半終了と同時にハートリーが44ヤードのFGを決め、6-10の4点差でハーフタイムを迎えた。

後半に入り、セインツがいきなり勝負をかける。なんとキックオフでオンサイドキックを試みたのだ。ある程度差のついている状況ならともかく、4点差で後半の最初にオンサイドキックを試みるなど前代未聞だが、意表を突くからこそ成功する確率も高くなるわけで、実際にセインツはこれを見事に成功させた。そして自陣42ヤードから攻撃を開始すると、ブリーズが短いパスを次々に決め、最後は11分41秒、ピエール・トーマスへ16ヤードのスクリーンパスを決めてTD、13-10と逆転に成功した。

しかし初めてリードを許したコルツは、アダイのランとマニングからクラークへのパスを織り交ぜてすいすいと前進し、6分15秒、アダイが4ヤードのTDランを決めて17-13。あっさりと逆転に成功した。セインツは次の攻撃シリーズでも短いパスをつないで敵陣へ攻め込んだが、TDは奪えず、2分1秒にハートリーが48ヤードのFGを決めて16-17と1点差に詰め寄るにとどまった。ただ、前半は活躍していたフリーニーが怪我の影響で思うように動けなくなったため、コルツの守備陣がセインツの攻撃を抑えきれなくなってきたのも事実だ。

第4Qに入り、コルツは敵陣46ヤードで4thダウン2ヤードに追い込まれたが、パントを蹴らずにギャンブルを選択。マニングがエースWRウェインへ14ヤードのパスを通して攻撃権を保持した。しかし10分39秒、ストーバーが51ヤードのFGを左へ外してしまい、リードを広げられずにセインツに攻撃権を明け渡した。

するとセインツはRBブッシュのランやブリーズから多くのレシーバーへの短いパスで攻め込み、5分42秒、TEショッキーが2ヤードのTDパスレシーブを決めて再び逆転に成功した。この時点でスコアは22-17の5点差となり、PATキックを決めて6点差にしても大勢に影響はないため、セインツは2ポイントコンバージョンを選択。ブリーズからのパスをWRムーアがエンドゾーンで落球したため、いったんはパスインコンプリートと判定されたが、コーチズチャレンジで判定が覆り、パス成功となってセインツは2点を追加した。これでスコアは24-17だ。

7点を追うコルツはマニングからガーソンやウェインへの短・中距離のパスで前進したが、3分12秒、マニングがウェインへ投げたパスをセインツのCBポーターがインターセプト。そのまま74ヤードをリターンしてTDを決め、31-17と14点差をつけた。得意のDF陣によるターンオーバーが飛び出し、モメンタムは完全にセインツだ。コルツも最後の望みを賭けた攻撃シリーズを敵陣3ヤードまで進めたが、TDを狙った4thダウンギャンブルは失敗に終わり、万事休す。

セインツが球団創設44年目、あのハリケーン・カトリーナから数えて5年目にして、ついに悲願のスーパーボウル初優勝を成し遂げた。10点ビハインドからの逆転は、スーパーボウル史上最多得点差逆転のタイ記録。そしてこちらもスーパーボウルタイ記録となる32本のパスを成功させ、288ヤードを獲得したブリーズが見事、MVPに選出された。

下馬評を覆してのセインツの優勝だったが、大きな勝負どころが2つあったと思う。ひとつは前半終了間際にギャンブルに失敗しながら、コルツの中途半端な攻めにも助けられて攻撃権を奪い返し、FGで4点差まで詰め寄ったこと。そしてもうひとつは、後半開始早々にオンサイドキックを決めて流れを変えたこと。積極果敢なペイトン采配が見事に的中し、ニューオリンズの街に歓喜をもたらした。

一方のコルツは第1Qこそ自分たちのペースで試合を進めていたが、その後は何となく消化不良のまま終わってしまった。確かにフリーニーの故障は痛かったが、それ以上にマニング率いるハイパーオフェンスが思ったほど得点を奪えなかったことが響いた。勢いに乗ってぶつかってきたセインツに対して受け身に回ってしまったという印象だ。

これで今シーズンのNFLは全日程を終了。近年の守備重視の流れに逆らうかのような攻撃型チームの活躍が目立つポストシーズンを大いに楽しませてもらった。来シーズンはどんな戦いが展開されるのか、私の応援するバッファロー・ビルズは新しいHCを迎えて11年ぶりのプレーオフ出場を勝ち取れるのか、今から楽しみだ。


posted by ナカヲ at 00:18| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | American Football | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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