2011年06月16日

昇格プレーオフ導入を検討

一昨日、東京のJFAハウスで開催されたJ1・J2合同実行委員会で、J2からのJ1昇格方法としてプレーオフを導入する案がJリーグ事務局から提示され、議論が行われたようだ。
来季J2で昇格プレーオフ導入を検討

Jリーグ事務局からの提案は、J2の上位2チームは現行通り自動昇格とし、残り1枠は3〜6位の4クラブによるプレーオフで決めるというもの。各クラブの実行委員からは、リーグの活性化、収入増につながるとして歓迎する意見、1年間戦ってきたリーグ戦の成績が軽んじられることや日程調整の難しさを懸念する意見などが出たようだ。

今回は検討にとどまったが、7月のJ1、J2各実行委員会であらためて導入の可否が話し合われ、導入が決まれば8月の合同実行委員会で実施方法について検討される見込み。

J2のクラブにとって、最も大きな目標の一つは言うまでもなくJ1昇格であり、その方法を巡る議論は非常に気になるところ。私見にはなるが、今回のプレーオフ導入のメリットとデメリットを整理してみた。

メリットとしては、まず、リーグ終盤までJ1昇格の可能性を残すチームが増えることで、各チームへの注目度が高まり、消化試合が減ることが挙げられる。おそらくリーグへの関心も高まり、多少なりとも入場者数が増えるのではないだろうか。

終盤まで3位争いに参加できるチームはせいぜい5位くらいまでだが、6位争いなら展開によっては10位前後のチームにも十分に可能性がある。10チームと言えば、現在のJ2の全チーム数のちょうど半分であり、単純計算すれば全開催試合の3/4が昇格争いに関係したチームの登場する試合になるわけだ。

しかも、盛り上がるのは6位争いだけではなく、自動昇格ラインの2位を巡る争いからも最後まで目が離せない。そしてもちろん、プレーオフ自体も大きな注目を集めるだろう。3年前まで行われていたJ1・J2入れ替え戦の、あの心臓が止まるような緊張感は、優勝争い以上の感動をファンに与えてくれる。

ということで、今までは3位争いがリーグの最大の見どころだったものが、6位争い、2位争い、そしてプレーオフと、昇格をかけた真剣勝負が一気に増え、かつてない盛り上がりが期待できる。

メリットの2つ目としては、J1昇格の可能性がより多くのクラブに残されることで、J2の各クラブがJ1昇格を今までよりも現実的に捉えられるようになることが挙げられる。それによって「J1昇格などまだ先の話」と考えて成長への努力を怠っている一部のJ2クラブにJクラブとしての自覚を促し、環境の整備を進めさせることができるのではないかと期待される。

一方、デメリットとしては、何と言ってもリーグ戦の順位が昇格決定の際の絶対の基準とならないことが挙げられる。同じ条件で1シーズン戦ってきて、順位という形で優劣が決まっているのに、それとは別の方法で昇格クラブを決めるというのは、リーグ戦の価値を貶める行為に他ならないのではないか?

勝ち点差3以内ならまだしも(それでも、いったん決着がついたものを反故にしてもう一度試合をしろと言われたら承服しかねるが)、勝ち点が10や20も下のチームに、一発勝負やホーム&アウェイのプレーオフで敗れたからという理由で昇格の権利を奪われては、上位チームはたまったものではないだろう。

米国のMLBやNFLのように試合数は同じでもチームによって対戦カードの内訳が異なっているのなら、リーグ戦の順位が絶対とは言い切れない面があるので、プレーオフを行う意味はあると思う。また、NPBのパシフィック・リーグとセントラル・リーグの覇者で争われる日本シリーズや、かつてのJ1・J2入れ替え戦なども、異なるリーグのチーム同士の対戦なので意味があるし、むしろ非常に魅力的なコンテンツだと思う。

しかし、ホーム&アウェイ2回戦総当たりという非常に公平性の高いリーグ戦を行った後で、その順位を反故にするようなプレーオフを行うのはどうなのだろうか? 上位チームに何らかのハンディを与えることで不公平感を弱めようとする案も出ているようだが、それでも長いシーズンの奮闘の成果が短期決戦の結果によって覆る可能性があることに変わりはなく、多方面から不満の声が聞こえてきそうだ。

2つ目のデメリットとしては、1つ目とも関連することだが、例えば2位に入るのは難しいが、6位なら狙えるというチームは、最初から6位狙いでリーグ戦を戦い、地力の差が出にくい短期決戦のプレーオフに勝負をかけてくる可能性がある。多くのチームにJ1昇格のチャンスが生まれるのはいいが、そんなチームが昇格したとして果たしてJ1で戦っていけるのだろうか? J1のレベルを下げることにつながりはしないだろうか?

しかも、(まだ案の段階なので何も決まったわけではないが)『スポーツ報知』の記事には「借金があるクラブが対象の時は、7位以下が順次出場する。」とも書かれている。さすがにJ2で7位や8位のクラブがJ1で通用するとは思えないので、いくらなんでもこれはやりすぎだと思う。
J2来季プレーオフ方式を導入へ

また、シーズン終盤に3〜6位の中で順位が確定したチームが、プレーオフを視野に入れてリーグ戦の残り試合は手の内を隠して戦うというケースも出てくるだろう。今までなら、順位が確定しても選手たちは来シーズンにつなげるために全力で戦っていたが、プレーオフ出場が決まったチームはできるだけ戦術などを見せないように、怪我をしないように、カードをもらわないように、といった戦い方をすることになり、消化試合以上につまらない試合を見せられる可能性がある。

そしてデメリットの3つ目は日程面。どんな方法で行われるかは導入が決まってから議論されるとのことだが、仮に現在Jリーグ事務局が提示しているトーナメント案を準決勝、決勝とも一発勝負で実施するなら、開催日を2日確保する必要がある。ホーム&アウェイならその2倍だ。『中日スポーツ』の記事には1回戦総当たりやJ1の16位が参加する案も示されているが、12月の後半には天皇杯もあり、日程調整は容易ではない。
J1昇格へ来季からプレーオフ導入へ J2 6〜3位クラブ対象

各クラブの運営サイドから言えば、実際に開催にこぎつけるかどうか分からないプレーオフのためにスタジアムを確保しなければならないことも大きな負担だ。また、開催が決まるのはリーグ戦が終わって順位が確定した後になるので、時間のない中でチケット販売や試合開催の準備を進めなければならない。

ざっと考えて思いつくメリットとデメリットはそんなところだろうか。個人的には、あのしびれるような雰囲気の入れ替え戦の実施は歓迎したいが、リーグ戦の価値を下げることになるプレーオフの導入には反対だ。ただ、集客の伸び悩みを打開するための新たなコンテンツがほしいという事情も理解はできる。Jリーグ及び各クラブで十分に議論を尽くし、最善の結論を導き出してほしい。


posted by ナカヲ at 04:04| 徳島 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | Soccer 2011-1/2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
クライマックスシリーズのサッカー版といったところか?本編にあるように整理して考えると、
メリット・デメリット共、NPBとだいたい同じですね。
このプレーオフを実際やるとしても、天皇杯が佳境になってくる時期
(「J1降格争いチーム」vs「J2もしかしたら6位以内のチーム」など)と被りませんかね?
少なくとも、ホーム&アウェーは無理や。上位チームのホーム一試合で決着つけようぜ。
(って、やる気満々やんか!)
だって開幕前、FC岐阜・木村監督は、今年の目標として「6位」と語ってたもんで。偶然やろか?(現実は厳しい!)
ヴォルティスとしては、どうしても無視できませんね。
Posted by 元野球応援団 at 2011年06月16日 21:14
>元野球応援団さん
2005年以降のNPBの動向はあまりよく知らないのですが、この昇格プレーオフの場合、
1位が変わるわけではないのでまだマシかもしれませんね。

ACLにJ1の上位3つと天皇杯1位が出られるように、J1昇格もJ2の上位2つと
J2上位6チームによるカップ戦「プレーオフ」の1位が出られるという解釈なら
それほど変ではないのかもしれません。つまり、3位が上がれず6位が上がるのは、
天皇杯を制したJ1の7位がACLに出て、J1の4位が出られないのと同じこと。

ちなみにうちは来年J1なので関係ないです。もし導入されたら第三者として楽しみます。
Posted by ナカヲ at 2011年06月17日 12:11
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